秋日(秋)昔の俳句は前書きつきの句が多かった。
有名な話は、ホトトギス巻頭の、芝不器男(愛媛出身)の句で、
『あなたなる夜雨の葛のあなたかな』 は、
長々と前書きが付いている。
「二十五日仙台につく みちはるかなる伊予の我が家をおもへば」とある。
虚子の名鑑賞で一躍有名になった、芝不器男の代表句である。
虚子の鑑賞は、
「この句は作者が仙台にはるばるついて、その道途を顧み、あなたなる、
まず白河あたりだろうか、そこで眺めた夜雨の中の葛を心に浮かべ、
さらにそのあなたに故国伊予をおもう、
あたかも絵巻風の表現をとったのである」 と、述べている。
この句の前書きは、このフォト俳句の写真の部分である。
この写真が愚陀仏庵の二階という事を明示すると、
故人の漱石の部屋と特定されて、もうこの戸は開かないのである。